兵庫県神戸市で、自宅で出産した赤ちゃんの遺体を遺棄したとして24歳の母親が逮捕されました。
このニュースが大きな波紋を呼んでいるのは、母親が逮捕の直前、赤ちゃんポストで知られる慈恵病院に「助けてください」とSOSを出していたからです。
なぜ自ら助けを求めたのに、逮捕という結末になってしまったのでしょうか?
「こうのとりのゆりかご」を運営する慈恵病院・蓮田健院長が「理不尽だ」と異例の抗議会見を開いた背景には、日本の孤立出産の深刻な闇がありました。
24歳母親が送った「助けてください」メールの全文と事件の経緯

兵庫県警は2025年1月27日、神戸市に住む24歳の母親を死体遺棄の疑いで逮捕しました。
しかし、事件の発覚は警察の捜査ではなく、母親本人から熊本市の慈恵病院へ送られた一通のメールでした。
「パニックになって…」メールに綴られた壮絶な孤立出産
母親が出産翌日に送ったメールには、誰にも頼れず一人でお風呂場で出産し、目の前の現実に呆然とする姿が残されていました。
「事情があり誰にも頼ることができません。
昨日朝有り得ない程の痛みが来てしまい…自宅のお風呂場で生まれてしまいました。
しかし泣くこともなく既に赤ちゃんが息をしていなく…
もしかして私は逮捕されてしまうのでは?とパニックになって…」(メール本文より引用)
赤ちゃんの首にはへその緒が巻き付いており、母親は「どうしたらいいのか」と震えながら病院へ相談。
これを受けた蓮田院長が警察へ繋ぎましたが、待っていたのは「保護」ではなく「逮捕」という現実でした。
慈恵病院・蓮田院長が警察に抗議した理由とは?

この逮捕に対し、慈恵病院の蓮田健院長は記者会見を開き、神戸北署に意見書を提出。
「今回の逮捕は理不尽であり、捜査は杜撰と言わざるを得ない」と強い言葉で批判しました。
理由①「相談=逮捕」という最悪の前例になる
院長が最も危惧しているのは、SOSを出した女性を逮捕することで、全国の同じ境遇にいる女性たちが「相談したら捕まるんだ」と恐怖し、さらなる遺棄や隠匿に走ってしまうことです。
これは「救える命」を司法が摘み取ってしまう行為に他なりません。
理由② 逃亡・証拠隠滅の恐れがないのに「逮捕」の必要性
通常、自ら通報したり相談したりしている場合、逃亡の恐れが低いとして「任意捜査」になるケースも少なくありません。
なぜ今回、情報提供者である院長への聴取も後回しにして、即座に「逮捕」という強制措置が必要だったのか、その判断基準が問われています。
なぜ救済されない?日本の「孤立出産」が抱える法的リスク

今回の事件で注目されているのが、日本の法律における「死体遺棄罪」の厳しさです。
善意の相談でも「死体遺棄」になる矛盾
日本の刑法では、たとえ死産であっても、公的な届け出をせずに遺体を自宅に保管し続けることは「死体遺棄」に該当する可能性が非常に高いのが現状です。
- 母親の心理: 「どうしていいか分からない」「パニックで動けない」
- 法律の壁: 「正当な埋葬手続きを取っていない」=「犯罪」
このギャップが、困窮した母親を追い詰める「闇」となっています。
ネットの反応|警察への批判と母親への同情の声

SNSやニュースのコメント欄では、今回の逮捕劇に対して多くの意見が寄せられています。
一方で、「法治国家である以上、遺体放置は逮捕せざるを得ないのではないか」という慎重な意見もあり、議論は平行線をたどっています。
まとめ|孤立出産を救うのは「罰」ではなく「支援」

神戸で起きた今回の事件は、日本の社会福祉と司法の連携がいかに不十分であるかを浮き彫りにしました。
慈恵病院が推進する「内密出産」のような、匿名性を守りながら安全に産める仕組みが法的に整備されない限り、今回のような悲劇は繰り返されるでしょう。
必要なのは、パニックに陥った女性を「犯罪者」として裁くことではなく、その手を取る「支援」の手ではないでしょうか。
亡くなった赤ちゃんの冥福を祈るとともに、二度とこのようなSOSが逮捕で終わらない社会になることを願わずにはいられません。
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